遠藤 湖舟

Endo Kosyu

ボーダーを設けないことがボクのスタイル

  • 生い立ちやアーティストとしての活動歴などを教えてください。
  • 自然豊かな長野県に生まれ育ったことが独自の感性を育み、今も「自然」と向き合うたびに多くのことを学んでいます。 子どもの頃の夢は科学者になることで、大学では化学を学びました。写真家としての活動は2006年からです。そんな経緯もあり、「科学とアートの融合」は基底にあるテーマです。2007年には遠藤湖舟写真集『宇宙からの贈りもの』(講談社)を発刊、2015年、島屋巡回大規模個展『天空の美、地上の美。』が開催されました。2017年、奥田元宋・小由女美術館およびニューヨークのギャラリーの二か所で個展を同時開催し、2018年にロサンゼルス・カウンティ美術館に二作品が収蔵されました。また同年、京都の有斐斎弘道館と北野天満宮で個展を開催。2017年より毎年、玉川島屋アートサロンで個展を開催しています。
  • 新しい作品を生み出す時は、どの様なきっかけで制作を始めることが多いですか?
  • たくさんのアイデアを常に持っています。そしてそのアイデアの下に、まず撮影をしてみます。その結果が心を震わせるかどうか、それが判断基準となります。
  • 作品を制作する前に準備する事や、何か決まったルーティーンなどはありますか?
  • 撮影自体、それは日常です。それで、思い立った時にすぐカメラを持ち出せるようスタンバイさせています。自然は秒単位で、どんどん変わるのです。
  • 作品を制作する場所はどの様なところですか?
  • 撮影地は地球上あらゆるところです。対象は宇宙から微生物まで手掛けています。屋外撮影もあれば、スタジオ撮影施設も整っています。つまりボーダー(境界)を設けないことがボクのスタイルです。
  • 作品を制作する際に、どの様なところに気をつけていますか?また最も気を配ったり、苦労する点があれば教えてください。
  • 撮影は作品制作の始まり、あるいは材料と捉えています。選定は重要です。選定時には客観的な目線を大事にします。そしてプリント方法、素材、形状などは、最新技術を試し、採用しています。
  • 作品が完成した、と思える瞬間はどの様な時ですか?
  • これは難しい問いです。「これで良し」と思える最終地点はないのかもしれません。「今回はこの方法でここまで」という判断です。常にその先を考えています。
  • あなたにとって作品/アートとは何ですか?
  • 「心の震えを形にする」ということです。また、アートとして成立するには、「オリジナリティ」が必須です。
  • 企業で研究者としての勤務経験がありますが、研究と作品制作の、共通点と異なる点を教えてください。
  • 最近も研究段階にある新素材を使った作品をつくり、その素材を開発した企業の研究者たちとディスカッションしました。アートと科学研究には「未踏の地を切り開く」という共通項があり、そこには「情熱(パッション)」があることを確認しました。
  • 今回の作品で、プリントや用紙など一番こだわっているポイントはどの様なところでしょうか?
  • アクリル板に直接プリントすることによって、写真の透明感や彩度を際立たせています。2014年に始めた技法で、2015年の島屋巡回展の際には大規模に採用しました。このようなことは世界で初めてだと思いますし、この技法での作品がロサンゼルス・カウンティ美術館に収蔵されています。
  • サークル「より深い、「美」の見つけ方」ではどの様なことを学べますか?
  • 各人の中に眠る「美意識」を目覚めさせます。写真や美術のみならず、科学、医学、文学、歴史などなど、あらゆる分野のポイントを紹介し、多面的に「美」にアプローチしています。また、フォトブックの制作などを通じて、「美意識を形に」する方法も採用しています。